投稿 「 忍び寄る戦慄を憂う 」

那覇市 沖縄の昔話研究者 宮沢 貞子

宮古毎日新聞 2017年 12月26日

 

2017年11月20日の沖縄タイムス紙を開くと「宮古陸自きょう着工、防衛局が地元説明、批判が続出」という記事が目に飛び込む。

「とうとう来たか!」。

第2次大戦の時、大きな基地こそ築かなかったが、校舎はすべて軍隊に取り上げられて私たち生徒は追い出され、勉強どころではなかった。

それに敵機からの攻撃や艦砲射撃の大変な時でさえ、住民を守るために応戦しなかった。

自衛隊はどうだろう。

 

千代田カントリークラブ周辺住民への基地設置の説明は、19日に沖縄防衛局からなされたという。ところが10月から土のう設置などの事前工事は始まっていて、その説明は約1ヶ月後の11月19日だという。順序が逆である。住民から批判が出るのももっともなことである。

 

11月21日の宮古毎日の紙上によれば、住民側が日常生活に不安を募らせ、「宮 古 に 基 地 は い ら な い」、「陸自配備反対」をいくら叫んでも防衛局は耳を貸そうともせず、20日には陸上自衛隊の建設工事の着工式が上野野原の旧千代田カントリークラブで開かれ、本格的な工事が始まった。高低差のある土地の造成工事の後、宿舎や隊庁舎、車両整備場、給油所、排水処理場、食堂、福利厚生施設等々の建設が予定されているという。

 

新聞には着工式でテープカットを行う関係者の写真や陸上自衛隊駐屯地の完成イメージ図も掲載されていて、冒頭の日本軍上陸の時が連想され、胸が痛む。

 

ここの基地の予定地は宮古島のほぼ中央に当たる。基地ができ、800名の自衛隊員が迷彩服の軍服を着て軍事訓練等のため、せわしく出入りすると、野原集落だけでなく、その周辺一帯のこれまでの穏やかな生活は著しく乱されると思われる。

 

最近は北朝鮮のミサイル問題が世間を騒がせ、近い将来戦争が起こるのではないかと人々を脅かしている。その中でも特に米国と深く結びついている日本が真っ先に目を付けられると思う。

もし今着工している基地が狙われ、そこにミサイルが落ちたらひとたまりもない。

 

この小さな宮古島は吹っ飛び、水も食料も途絶えて人々の日常生活はめちゃくちゃになってしまうに違いない。戦争は絶対に起こってはいけない。北朝鮮のミサイル発射はあってはならない。

 

今、世の中は混沌としている。宮古島千代田カントリークラブの陸自施設の着工反対運動だけでなく沖縄本島では普天間飛行場移転先の辺野古埋め立て工事反対、さらに嘉手納、読谷、北谷、沖縄市の上空を飛び交うヘリパッドの騒音、墜落事故を含む数えきれない米軍機の事故等々、いつ戦争が起きてもおかしくないような不穏な空気が漂っている。

 

野原の自衛隊宿舎と隊庁舎新建設工事の入札は既に公示されていて、工期は19年2月ごろまでとなっているようだ。

 

「宮古島に基地はいらない」、「弾薬庫や射撃訓練場の建設はもってのほか」と宮古住民だけでなく、他県や他地区に出ている出身者も一緒になって声を張り上げ叫びたい。