東京新聞 本音のコラム  「憲法番外地」 鎌田 慧 かまだ さとし 北アメリカ大西洋岸にほど近いワシントンDC、そこのホワイトハウスに住む暴君にしてみれば、はるか西方、太平洋のはずれに浮かぶ弧状列島など、中国大陸に対峙する最前線の塹壕でしかないのかもしれない。 列島南西端の沖縄本島は七十年以上にわたって極東最大の米軍事基地であり、いま知事と県民の抵抗を排除して、あらたな「辺野古」巨大基地が建設されようとしている。 そこからさらに南西へ三百㌔、宮古島では辺野古と同じように、工事現場のゲートに駆け込むダンプカーに向かって、「基地建設工事に協力するな!」と声をからして叫び続けてる人たちがいる。 おなじ島のひとたち同士で、基地の建設工事にでるひとと それに抗議するひとがいる。運転台の男は顔をそむけて通り抜ける。見ていて 胸が 痛くなる光景だ。 辺野古は米軍基地の建設だが、宮古島は西隣の石垣島とともに、自衛隊のミサイル基地にされようとしている。 しかし、こんな小さな島にミサイルを並べ立ててどこの国と戦争をする気ですか、安倍首相。 リーフ内側の目の覚めるようなエメラルドグリーンの海に囲まれ、パイナップルやマンゴーを作って平和に暮らしてきた農民たちは、ミサイルを撃ち合う戦場にされるのを拒否している。 沖縄は平和憲法の番外地なのか。(ルポライター) 2018.1.19